ペット・サウンズ・セッションズ
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ディスク1 ディスク2 ディスク3 ディスク4 ※タイトル後の「50th 1-X」は2016年の 『ペット・サウンズ 50周年記念スーパー・デラックス・エディション』 の収録位置を示す
発売30周年を記念して1997年に出た4枚組ボックス・セット。当初は1996年に発売される予定で、プレス・シートなども作られていたが、いろいろとゴタゴタがあり(複数のメンバーから作詞作曲のクレジット修正や自分の貢献度を明記するよう要請があったとかそんなことらしいが、よく知りません)、発売が延期された。トラック・リストだけを眺めたまま1年待たされて、もう出ないんじゃないかとも思ったが、97年の11月に無事発売された。 ディスク4は再新リマスターのモノラル版 『ペット・サウンズ』 で、残り3枚にセッション音源や別バージョンが収録されている。 その3枚は、 1.初めて製作されたステレオ・ミックス 2.各トラックのセッション風景とステレオ・バッキング・トラック(録音された順番に)。 3.『ペット・サウンズ』 のスタック・オー・ボーカルズ(ボーカルのみ) 4.別バージョン集 という構成になっていて、各トラックのステレオ・バッキング・トラックを集めれば、「『ペット・サウンズ』 のスタック・オー・トラックス」も出来上がるというあんばい。 米盤のボックスは普通の紙製だったが、日本盤は箱が布張り仕様。なんつってもすごいのが付属のブックレットで、多くのカラー写真が掲載されたボックス大の36ページのものと、「The Making Of Pet Sounds」と題されたCDケース・サイズの126ページのもの2冊が付いており、日本盤には両方の翻訳を1冊にまとめたボックス大の80ページのブックレットが付属している。読み応え充分。 【日本盤のブックレットの目次】 ■トラック・リスト ◎以下はカラー・ブックレットの翻訳 ■ブライアンの前書き(1996年5月) ■イントロダクション [デヴィッド・リーフ] ■歴史的検証 [デヴィッド・リーフ] ■ディスク・バイ・ディスク(各ディスクのおおまかな内容) ■曲目解説(アルバム全13曲の解説) ■チャート動向(ビルボード誌編集長ティモシー・ホワイトのコメント付き) ■オリジナル盤およびステレオ・ヴァージョンによる 『ペット・サウンズ』 のレコーディング、ミキシングについて[マーク・リネット] ◎以下は「The Making Of Pet Sounds」の翻訳 ■序文 [マイク・ラヴ] ■メンバーのインタビュー ブライアン・ウィルソン/カール・ウィルソン/デニス・ウィルソン(生前のコメント)/アル・ジャーディン/ブルース・ジョンストン/トニー・アッシャー ■スタジオ・ワーク(セッション・ミュージシャンのインタビュー) チャック・ブリッツ(エンジニア)/ラリー・レヴィン(エンジニア)/スタン・ロス(エンジニア)/ブルース・ポトニック(エンジニア)/ハル・ブレイン(ドラムス)/ジュリアス・ウェクター(パーカッション)/フランク・カップ(パーカッション)/キャロル・ケイ(エレキ・ベース)/レイ・ポールマン(フェンダー・ベース)/ライル・リッツ(ストリングス・ベース)/ドン・ランディ(ピアノ)/ラリー・ネクテル(ピアノ) /アル・デ・ローリー(ピアノ)/ビリー・ストレンジ(ギター)/ジェリー・コール(エレキ・ギター)/バーニー・ケッセル(ギター)/アル・ケイシー(ギター)/トミー・テデスコ(ギター)/スティーヴ・ダグラス(テナー・サックス)/ジェイ・ミグリオーリ(バリトン・サックス)/プラス・ジョンソン(テナー・サックス)/ジャック・ニミッツ(バリトン・サックス)/ビル・グリーン(サキソフォン)/ジム・ホーン(サキソフォン)/ロイ・ケイトン(トランペット)/アーニー・タック(バス・トロンボーン)/ルー・マクリアリー(トロンボーン)/アラン・ロビンスン(フレンチホルン)/フランク・マロッコ(アコーディオン)/カール・フォーティナ(アコーディオン)/トミー・モーガン(ハーモニカ)/シド・シャープ(コンサートマスター) ■オブザーバーたち(インタビュー) マリリン・ウィルソン(ブライアンの最初の妻)/オードリー・ウィルソン(母)/カール・イングマン(キャピトル・レコード重役)/ニック・ヴェネット(キャピトル・レコード A&R部)/ダニー・ハットン(スリー・ドッグ・ナイト)/ジョージ・マーティン(ビートルズのプロデューサー)/ポール・マッカートニー(ビートルズ) ■漫画「Doonesbury」(ギャリー・トゥルードー) ■歌詞翻訳 収録されたトラックはどれも興味深いが、最大の聴きどころはこれまでボーカルや楽器の音の影に隠れて聴こえにくかった個々の音が聴こえることと、録音中のブライアンの姿。「史上最高のアルバムを作る」と決めたブライアンが、自分の頭の中にある音を完璧に再現するためにミュージシャンたちに細かく指示を出していく様子は気迫に満ちており、鬼気迫るものがある。 『ペット・サウンズ』 は、「ロックの名盤ベスト10」みたいな企画があると1位になることも多いが、そのことがかえってこのアルバムに対する敷居を高くしたり、過大な期待を持たせてしまうことになっている感じもする。 とりあえず、ロック的な価値観とか「カッコ良さ」を重視している人にはあんまりピンとこないと思うので、ダメならダメで、このアルバムからビーチ・ボーイズを聴き始めた人は、懲りずに他のアルバムも聴いてみて欲しい。 |